めんこい流  共同制作  の進め方
                                        



綿恋くらぶは10人近いメンバーでひとつの作品を共同で制作しています。
みんなで作っていくためにはそれなりの工夫も必要です。このコーナーでは綿恋くらぶがどのように作品作りをしているか紹介します。

綿恋くらぶはテーマ・構図決めに一番時間をかけます。
実際に布にさわる時間よりも「どのような作品にするのか」を話し合うことに重点を置きます。ここでたくさん意見を出し合い全員が納得するまで話を煮詰める事が、あとの作業をスムーズに進めるためにも大切です。
                                
 ★ テーマ決め
 ★ 構図決め
 ★ 下絵作り
 ★ 手法決め
 ★ 材料集め
 ★ 制作
 ★ 展示
                                


  テーマ決め 

綿恋オリジナル作品のメインテーマは「仁多の自然への愛」です。

ただしそれだけでは漠然としていますし、何もないところから具体的にテーマを決めることはとても難しいです。綿恋くらぶは、石見銀山のブラハウスが主催する「銀の針賞」に出品する事も制作目標のひとつにしてきました。(初めて作ったオリジナル作品第1号の「想い出」が初出品で銅賞を受賞した事に味をしめたわけではありませんが・・・)ブラハウスの指定するテーマを「ふるさと仁多への想い」と結びつけて私たちなりのテーマを決めていきます。

作品作りを続けていくうちに自分達の体験した感動を作品の中に織り込む事の大切さを学びました。

  • 「船通山登山」を作成した時のブラハウスのテーマは「輝き」でした。登山した時の木漏れ日の登山道はキラキラ輝き、とても美しくかったです。そして登山する私たちの心も輝いていました。そこでこの体験を作品にする事にしました。四季・冬
  • 「四季・冬」は雪の日にお互いに助け合って登校した子供達のことをテーマにしました。

 ■ 構図決め ■

テーマが決まったらナニをドコに配置するのか、作品の構図を考えます。このとき仁多の自然をどのように取り入れるかが一番のポイントになります。さらにナニを主役にするかを決め、それが引き立つ構図にします。
spring has come
「spring has come」では春がきた喜びに重点を置きすぎたため、一般的な構図になり「ここは仁多ではないぞ!」と反省しています。(石見銀山に行く途中の三瓶山の麓のイメージが頭のどこかにあたのでは・・・)それからは、遠くの山を描くときも仁多から見える中国山地をしっかり観察しています。


  • 「今 林の中で」の主役は昆虫達ですから、昆虫達の視点から見える構図にしたらというアイディアも飛び出し採用されました。この構図を私たちはとても気にいっています。


 ■ 下絵作り ■

大まかな構図が決まったら作品の具体的イメージ作りのため、下絵を書く必要があります。しかしメンバーは絵が苦手です。そこで、絵の専門家であるメンバーの愛息T君の助けをかります。自分たちの作りたいイメージをしっかり彼に伝えて絵にしてもらいます。そして彼の書いてくれた絵を元に再度構図を検討し、実物大に張り合わせた紙に絵を書きます。これが作品の型紙にもなります。

 ■ 手法決め ■

次は各部分をどのような手法で作るか検討します。私たちの作品は絵キルトの部類ですから、各部分が一番それらしく見える手法を考えます。ピースワーク・アップリケがベースで、それにいろいろな小物を加えていきます。

パッチワークに対してものすごく知識があるわけではないので、本も参考にします。またメンバーが個人作品で作ったパターンを採用する事もあります。「このパターンをこの色で作ると○○のように見えるね。」といった感じです。

  • 「今 林の中で」以来ペーパライナー法の六角つなぎが綿恋のお気に入りです。これは大勢で作るのにぴったりです。巻きかがりでつないでいきますから、使う布の種類をあまり気にする必要がありません。薄くてツルツルする布でも色の方を優先して使っていくことができるので、グラデーションをつけやすい利点もあります。船通山登山
    「今 林の中で」では木の下の土の部分で使い、濃い色を木の陰に見立てました。「船通山登山」では右奥の森の部分で使い、緑の布の濃淡や黄色の布を混ぜることで木漏れ日の感じが出せたと思います。
    四季・秋
  • 「四季・秋」では落ち葉の部分に本に紹介されていたピンキングキルトを応用させていただきました。

 ■ 材料集め ■

布は基本的にメンバーで持ち寄ります。
メンバーの親戚の方にバイヤステープを作っている方がいて、そこからハギレを頂き助かっています。

必要なときは買いますが「何でも使おう」精神で使えそうなものは何でも持ち寄ります。洗濯することは無いので(不可能?な作品ばかりで・・・)木綿に限らず、絹・ウール・化繊・合成皮革も使います。布の裏の方がイメージに合えば裏を出しますし、色がきれいなのでラッピング用の不織布を使ったこともあります。古い蚊帳・豆腐作りの時のこし袋と本来ならゴミになりそうなものが私たちにとってはお宝です。虫食いのある古い布も出番はたくさんあります。四季・夏
  • 「四季・夏」の道路に使った布は、なんと畑の日よけとして再利用していた布団の側布です。いい具合に色がはげたり、汚れたりしていました。


一番のお宝は自分達で染めた草木染めの布です。これを大切に大切に各作品で使っています。

  • 蔵を片付けたらこんなものが出てきた、なんていうことがあるのが田舎の良さです。
 ■ 制作 ■

手法や使う布が決まった部分から型紙を作り、布を切って縫いはじめます。

  • 縫う事は各自が分担して持ち帰る事が多いです。型紙用の紙が無くてスーパーのビニール袋で代用なんてすごい事を綿恋メンバーはやってしまうのです。(もちろん精密な型紙が必要な部分はきちんと作りますよ。)

次の段階では、できた部分をさらに縫いあわせ少しずつ大きなかたまりにしていきます。構図にもよりますが、キルティングのことを考えて最終的には3〜4個のパーツに分けます。実物大の下絵(型紙)をそれぞれのパーツと同じように切り分け、出来上がりの目安にします。

  • つなぎあわせる時のことを考えると、予定よりピースワークを1段多くしたりして少しおおきめに作っておいたほうが安全です。

全体を並べてキルティングのデザインを考えます。キルティングはトップ・キルト綿・裏布の3層を縫い合わせるためだけではなく、キルティングによって出来る陰影が作品に深みを与えます。

  • 空は風の流れを感じさせるデザインにしたり、遠近感が出るように放射線状のデザインにしたりします。最初の頃は落としキルト中心でしたが、最近はキルティングの効果を狙って、ここでも一番効果的なデザインをみんなで検討します。キルトラインはえんぴつだったりチャコだったりいろいろです。

各パーツごとにキルト綿をはさんでしつけをかけ、キルティングをはじめます。

  • せっかく一生懸命に縫ったトップです。しつけはきちんとする事が、キルティングの仕上がりにも影響を与えます。
    当然キルティングの基本に従い各パーツの中央から外に向かって縫いますが、各パーツを合体させる時のために周囲は残しておきます。
    この作業は数人のグループに分かれて持ち帰って行います。作業効率のため家の近いもの同士のグループ分けになる事が多いです。

各パーツの合体はログキャビン式に、まずトップだけを縫い、次にキルト綿をつき合わせてかがり、最後に裏布を軽くまつります。

  • ここは全員で注意深く行います。キルティングが終わった段階で、縫いちぢみ等でサイズが予定通りではないことが多いのです。あまりにサイズが違いすぎて、急遽トップを縫い足したこともありました。
    畳のヘリを定規代わりにしたり、畳に刺したマチ針に糸を巻きつけ直線を作るという大工さんの技の応用も登場して(これは、農作業の時の畑の畝作りで、メンバーがよく使う技でもあります。)作品がまっすぐにつながるように調整します。細心の注意を払わなければ曲がった作品になって大変です。
    このログキャビン式が共同制作にはお勧めです。全員がキルティングに参加できますし、各パーツが同時進行で時間の節約にもなります。

残しておいた接続部分のキルティングを完成させます。

  • つないだことで厚さは増しているし、本体も大きくなっているし、補強のためにキルティングをおろそかには出来ないので、ここはつらい作業です。チクチクとはいかず、一針一針畳屋さん状態です。
「想い出」中のつるし柿
綿恋の作品は土台にいろいろ小物(主役のときもあります)がついているのが特徴です。写真ではわかりづらいのですが、つるし柿・モグラ・昆虫達・タンポポ・こごみ・フキノトウ・などなど立体的に作ってくっつけています。

  • これも分担して同時進行で作ります。ぬいぐるみ式・アートフラワー風と各自の持つ技術やアイディアの出しどころです。本物を観察したり、図鑑で調べたりと本物を意識したうえでイメージに合うようにデフォルメもします。

作品の主役達や小物が付いたら仕上げです。
周囲はパイピングせずに織り込んで裏布をまつりつけることが多いです。構図的にもパイピング等で囲むよりもさらなる広がりを感じられると思っています。

  • 今 林の中でログキャビン式の仕上げの上、いろいろな小物・大物をくっつけますので裏はそのままではとても見苦しい状態です。ですからキルティング用の布とは別に最終仕上げ用の裏布を一枚あててボロ隠しをする事にしています。
    さらに展示用に紐を付けたりします。「今 林の中で」は上部が木の形に添って変形していますから、紐の長さを変えることで展示しやすくしました。

 ■ 展示 ■

新作の初披露は町や地区の文化祭がほとんどです。この日を締切日と考えて制作しています。

展示に関してはお願いされればどこにでもお貸ししています。たくさんの方に見てもらえば作品たちも、私たちもうれしいです。

  • 1年に1作品のペースで作りつづけている私たちですが、いつでも定期的に集合して制作できるわけではありません。
    農家のメンバーも多いですから、農繁期は休止ですし、祭りの頃もダメですね。(住んでいる地区で祭りの日が違うからです。)冬の大雪の日の夜も怖くてダメです。
    早くから取り掛かるようにはしていますが最後の仕上げは少人数になる事が、特に高齢のメンバーにお任せして完成ということが多いです。
    「締め切り(文化祭の展示日)にまにあわない! おばあさん達助けて・・・」状態の毎年です。

    実は綿恋くらぶのメインエンジンはおばあさん達なのです。



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